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 コンバスインタビュー 
 公共交通を支えている人びと〜桜木町内会編〜 完全版(2/2)

   広報ちとせの1月号にはさみこまれた「コンバス通信最終号」で紹介したインタビュー。
今回は桜木町内会長の五十嵐正雄さんと、役員で環境衛生部長の香月正さんにお話しを伺いました。コンバス通信では載せきれなかったインタビューの全容をたっぷりとご紹介します。

もっとPRしてバスのない千歳を想像してもらって、「なくなっては困るよ!」というバスの必要性が浸透していかないと

―――先程、他の町内会で行えていないのは、一挙に集まることがないということでしたが

五十嵐さん
 要するに、他の町内会は1つの町内でも1区、2区と細分化されてるんですよ。そうすると、みんなが1ヶ所に集まることができないですから。 バス会社の人もわざわざ出向してきているので、場所も人数も回数も分割すると何度も足を運ぶことになって大変ですよね。


香月さん
 それと、地図や経路で言うと桜木が一番端じゃないですか。だから、例えば清水町だとか信濃とかは停留所をなくすと言われても通り道としてその場所を通るので、まだ危機感があんまり湧かないと思うんですよ。 私たちは「カットする」と言われると、一番端にあるので危機感を感じちゃうんですよね。これはなんとかしなければいけない、というのがあるんですよ。


―――もし、他の町内会でもこのような取り組みを行うとすれば、どのようなことが必要になってくるでしょうか。

香月さん
 まず一番根本ですよね。市がさっき言ったように5000万、桜木の1路線に400万補助してる訳ですよ。補助金の額が5000万でも6000万でもいいですが、じゃあ市はいくらまで赤字を補填するのかと言うことですよ。 つまり、補助金を出せる限界まで補填し続けるのか、それをいつまで補填し続けるのかと。 広報でも、バスがなくなる日とか、いろいろ特集でバスのこと出してるじゃないですか。 もっと市民に、「本当に千歳からバスがなくなったらどうなるんだ?」ということをもっとPRして、千歳にはバスが必要だという運動が広がっていって、そして町内会に浸透していかないといけないんじゃないでしょうか。 私達は危機感があったからできたけれども、そういう危機感が大事かなという気はしますね。
他人事になってるので、「千歳からバスがなくなっては困る」というのをもっとPRしていかないといけないんじゃないでしょうか。

―――道内で一番若い街ですから、他人事というのもそのあたりが起因しているのかもしれないですね。なので、危機感を訴えかけるのは難しいところですよね。

香月さん
 なかなかね。


五十嵐さん
 ただ、自分の地域でバス路線がなくなったら恐らくみんな困ると思うんですよ。 ところが、存続させるためにどうやって取り組むか、というのはやっぱり色々と難しい所がありますよね。 私達みたく町内みんなが1つに集まるような行事がある所だと、バスカード購入運動なんかは比較的やりやすいんですが、何丁目町内会とか小さく区分けされた所は、やっても1回あたりの売り上げも分割されますから効果が小さいですよね。 陳情するなら陳情でいいと思うんですよ、残してほしいと。でも残すためにそれぞれがどういう運動をするのか、というと考えどころですよね。


―――バスカード購入するという手段ではなく、別の方法で取り組むべきだと。

香月さん
 そうですね。だから、スーパーのイトーヨーカドーや、旭友ストアがなくなった時もそうでしたが、「なくなる」となると騒ぐんですよ。 町内でなにかやる時は、品物をなるべく旭友から買っていたんですけど、じゃあ個人での買い物はみんな旭友で買っていたかというと、そういうわけじゃないんですよね。 そしてなくなる話が出ると、市に陳情してと騒ぐわけですよ。イトーヨーカドーさんは「今更そんなこと言われても、赤字を毎年1億も出し続けては居られません」とはっきり言ってましたからね。そう言われたら私達は何にも言えないですよ。
私達の場合は、継続してくれた、6便限定でもやってくれたから、お返しじゃないけれど、じゃあ私達に何ができるかということで今こうしてバスカード購入を行っているんですよね。 「道内の中央バスが管轄してるところで1カ所でもこういうことをやっている所はない」と、中央バスさんには評価してもらってるんですよね。 本当はここも赤字なのに、我々がこういうことをしているから、我慢して通してくれてるんじゃないかなと思います。そうだとすると、まだ一生懸命やらなきゃいけないですよ、こっちも。

みんな切羽詰った状況にいないので危機感が足りないのかもしれない

―――先程「市民は危機感が足りない」という話があったんですが、同じように市やバス事業者にも何か足りない部分があるから負のスパイラルに歯止めがかからないと思うんですけれども、 市民の立場からみて何が足りないと思いますか?

香月さん
 危機感がないと言うと、ちょっと市民の方に悪いかもしれないですが、要するに自分の住んでいる所が、私達のように「ここカットしますよ」と言われたら騒ぐんじゃないですかね。 その前にある程度、バスはこういう経営ですよ、市はこれだけ補填してますよ、というのを出してるんだと思いますけど、もっともっとそういうことを言わないと。 いずれバスは本当に無くなるよと、広報で2回も特集してるけど、なかなか浸透してないなと。しかしまだまだ頑張ってほしいなと思いますよ。


五十嵐さん
 やはり先程の、必要性の問題でしょうかね。 例えば危機感がないというのは、自分が困らないから危機感がないんであって、仮に本当に今、車が何もなくて昔のような状態で、それでバスなくすと言ったら恐らくみんな騒ぐと思いますよ。 これでなくなったら大変だと。ところが、今は大勢の人が車を持ってるので、自分は困らないし、隣近所の人も困らないような時代になっている。 地域に困る人が何人かいるだろうけれども、だからそれだけ危機感が薄いんでしょうね。切羽詰まってないから。


―――そうなると、「必要だ」と身にしみて分かるというか、危機感が―

五十嵐さん
 要するに車を運転できない人もいますからね。私個人は困りませんよ(笑)車持ってますし、運転できるのでね。でも町内には車を運転できない人がいますしね。


―――そうなると、地道にPRをして今の50代60代の方たちがもう少し歳を重ねて、車に乗れなくなることが起こってきてバスを利用するようになって… となるとかなり時間のかかる話ですけど、そうなる前にPRをどんどんしていかなければなりませんね。

五十嵐さん
 そうですよね。


香月さん
 先程言ったように、イトーヨーカドーさんだとか、スーパーさんが撤退されるのと一緒で、中央バスさんも民営なので、赤字続きで市もこれ以上補助できませんよと言ったら撤退する可能性があるわけですよね? そういうことをもっともっと、地道な活動でも市民の方に知っていってもらわないとなかなか難しいと思いますね。バスに乗る人が急激に増えるかというと、そうではないですし。 ただ、高齢化してるので少しずつは増えるかもしれないですけどね。 だから今、路線を見直したりしてますけど、路線を見直したからといってそう簡単に、急に増えたりしないのではないかなと思います。


―――9月にコンバスで行ったフォーラムの中で、中出主幹(公共交通担当主幹)が 「もうそろそろ前のアンケートから10年経って見直しの時期にきているということで、アンケートをとったりして路線を変える必要があるのかもしれない」という話もしていましたが。

香月さん
 それは確か、中出さんが抜本的に見直そうと、駅前のバスのりばを中心にやってるものですよね?私達らからすれば、アンケートを行ったら桜木から市役所前で停まるようになるの?と思っちゃうわけですよ(笑) でも、アンケートを取って、どういうバス路線にするのか、それによって少しは(利用人数や意識が)変わるかなというのはないでもないですよね。 中通を通ればもっとみんな活用してくれるかなというのはありますけどね。 限定便だけ中通を通すなら、自由ヶ丘の方には何も迷惑はかけない話なんですよね。


五十嵐さん
 今の経路も全部中通を通せと言ったらちょっと問題ですけどね。


香月さん
 中央バスさんは道路せまいので難しいと言っていますけど、私達町内会としても、振動がすると言われることもあるので沿線の人に了解してもらわないといけません。 その辺りが難しいんですよね。


五十嵐さん
 環境問題とかもありますからね。


香月さん
 私達も5年この取り組みをやってきましたから、民報さんや道新さんに取材来てもらって新聞にも載ってるけど、他の人にも実際に来てみてもらって、こうして取り組んでいるんだというのを広めていくのが大事だと思ってるんですよね。 だから、次は色んな人に来てもらいたいですね。だから(インタビュアーの)中里さんもぜひ見に来て下さいよ。私達も、こういうことやってますとPRしますよ。


五十嵐さん
 そしたら私達の町内会でもやってみようとなるかもしれないですしね。見て刺激を受けてくれればいいですね。


―――最後にこの町内会のPRのためにも、全戸配布ですので、ぜひ伝えたいメッセージがあれば、どうぞ

香月さん
 やはり、交通弱者を守るためには、バスは必要なんですよね。(バスがないとして)運転できなければ、病院にも遠くて行けないですよ。この距離をタクシーで行き帰り乗るのはかわいそうですよ。 そういうこと考えたら、いずれ自分らも年齢的にこういう時が来ますから、千歳からバスを失くさないために、少しでもそういう意識でバスを利用してくださいと言うしかないかな。特に交通弱者を守るために。 私達のようにやれとは言えないですしね(笑)


五十嵐さん
 公共機関も本当に必要だということをね。


香月さん
 なくなってしまってから復活というのは難しいですからね。


五十嵐さん
 うん、難しい。


香月さん
 私達も、本当に何回もやりましたよ、役員会。もしも路線カットを認めたら、カットされてから「ここ延ばしてくれ」と言っても復活はあり得ないですからね。


五十嵐さん
 路線をカットしたことで、他の場所で乗降客が増えれば話は別ですけどね。まぁ、バス会社もちゃんと調べて分かってますから。 なくなる前にちょっと考えてみてください、というくらいしかないですね。


―――お二人とも、ありがとうございました!

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